火薬類取締法に関連して(火取法)に関連して

●猟銃用火薬類
 
 猟銃用の実包、銃用雷管及び発射薬等は「猟銃用火薬類等」と呼ぶ。すなわち実包、空包、銃用雷管、無煙火薬及び黒色猟用火薬の総称である。
 産業用火薬類(ダイナマイトとか電気雷管など)の譲渡、譲受けの許可は知事が行うが、猟銃用火薬類の譲渡、譲受け等の許可は公安委員会が行う。
 
●譲渡、譲受け
 
 猟銃用火薬を譲り渡し、又は譲り受けようとする者は、公安委員会の許可を受けなければならない。ただし、法に定める特定の者については、無許可で譲り渡し、又は譲り受けることができる。
 
(1)無許可譲受け
 
 無許可譲受けとは、狩猟者登録証を受けた者又は鳥獣捕獲の許可を受けた者が、登録又は許可の有効期間内に次表数量までを無許可で譲り受けることができる制度である。ただし、残火薬などを譲り渡しする場合には、譲渡の許可を受けなければならない。
 
 
(2)譲渡、譲受けの許可申請
 
 譲渡の場合は申請書を住所地を管轄する警察署に提出すればよいが、譲受けについては申請書を提出し、射撃目的の場合は下記のいずれかを提出しなければならない。
 
  1. 銃砲所持許可証

  2. 技能検定通知書(技能検定を受けるため必要な実包の購入のため)

  3. 教習資格認定証(射撃教習を受けるため必要な実包の購入のため)

  4. 練習資格認定証(射撃練習をするために必要な実包の購入のため)

  5. 銃の登録証(古式銃の所持は文化庁長官が銃の登録証を発行しているが、この銃に使う火薬の購入のため)
 
 狩猟目的又は鳥獣捕獲目的の場合は、銃砲所持許可証のほか、狩猟者登録証又は鳥獣捕獲許可証を併せて提示しなければならない。
 譲り受ける実包、空包はその銃に適合したものでなければならない(散弾銃所持者がライフル実包の許可申請はできない)。
 許可の申請はやむを得ない場合のほか、申請人が行わなければならず、グループの代表が一括申請するようなことは許されない。許可証の有効期限は1年を超えない期間で、また、1回の申請数量は、その期間内の消費見込量や貯蔵数量などの事情により制限されることがある。
 猟銃用火薬類を譲り渡し、又は譲り受ける際には相手方に「譲渡許可証」又は「譲受許可証」を示して必要事項を記載してもらうことになっている。

 譲渡・譲受許可証記載事項のうち、住所、職業又は氏名に変更があった場合には許可を申請した公安委員会に許可証の書換申請をしなければならない。他県に住所を変更した場合には郵送でもよい(銃の許可証の書換えでは郵送は不可)。
 譲受許可数量の全部を譲り受けたとき、有効期限が満了したとき、廃銃したときなど目的を失ったときは、速やかに交付を受けた公安委員会に返納しなければならない。
 銃砲の所持許可証に併綴されている場合はまっ消してもらわなければならない。
 通常の人の1回の譲受数量の限度は、自宅保管数量の限度からして800個以下であるが、できるだけ自宅に保管しないように必要量を譲り受けることが望ましい。

(3)無許可譲受票
 
 狩猟者登録証又は鳥獣捕獲の許可を受けている者の猟銃用火薬類は「無許可譲受票」により譲り受けることができる。この譲受票の交付は、大日本猟友会の支部が交付事務を行っている。猟友会に入っていない者もいるので例外的に警察署長も行うことができる。
 無許可譲受票は一狩猟期間若しくは鳥獣捕獲の許可期間につき1枚しか交付されず、紛失しても再交付は受けられない。
紛失後、実包を譲り受けたい場合又は無許可譲受数量では不足する場合には、公安委員会へ譲受許可の申請をし、譲受許可証の発行を受ける。
 無許可譲受票は、一狩猟期間又は鳥獣捕獲許可の期間満了後30日以内に、交付を受けた猟友会支部に返納するか、銃の所持許可証に併綴の場合はまっ消を受けなければならない。
 
●猟銃用火薬類
 
  1. 火薬類譲受許可証に基づいて譲り受けた者は、適法に猟銃用火薬類を所持することができる。

  2. 狩猟者登録証又は鳥獣捕獲許可証を受け、無許可譲受数量の範囲内で譲り受けた者は、適法に猟銃用火薬類を所持することができる。

 猟銃用火薬類は原則として火薬庫に貯蔵しなければならないが、下記数量の範囲内であれば、自宅の安全な場所に堅固な設備に収納し、施錠をして保管することができる(自動車のトランクなどは堅固な設備とはいえない)。
 
 
●猟銃用火薬類の無許可製造数
 
 火薬類の製造は、製造業者でなければ製造できないが、次の場合に限り無許可で製造することができる。
 
  1. 狩猟者登録を受けた者又は鳥獣捕獲の許可を受けた者が、1日につき実包又は空包の合計100個以下を造る場合

  2. 射的練習をする者が、1日につき実包、空包の合計100個以下を造る場合

  3. 鳥獣の駆逐をする者が、1日に空包100個以下を造る場合(駆逐とは単に追い払うことであり、駆除とは捕獲したり追い払ったりすることである)。

●猟銃用火薬類の運搬
 
 猟銃用火薬類を自動車等により運搬する場合には、積載及び運搬の方法などにつき火取法に定めがあるが、実包を弾帯又は薬ごうに詰めて携帯運搬する場合には特別な規定はない。
火取法の規定ではないが、列車、バス、船舶、飛行機については下記規則がある。
 
  1. 列車に乗る場合、鉄道運輸規定では下表の通り決めている。



  2. バスに乗る場合、自動車運送事業等運輸規則で、弾帯又は薬ごうにそう入してある実包又は空包50個以内と定めている。

  3. 船舶に乗る場合、危険物船舶運送規則で下表の通り決めている。



  4. 飛行機に乗る場合、手廻り品として機内持込手荷物にはできないので受託手荷物(5kgまで)にすること。

 
火薬類は他の物と混包したり他の物にみせかけて運搬してはならない。
 
●無許可消費数量
 
 消費許可を受けないで消費できる場合(無許可消費)は次の通りである。
 
  1. 狩猟者登録又は鳥獣捕獲許可を受けた者は、鳥獣の捕獲又は駆除のために1日に実包と空包の合計100個以下を消費できる。

  2. 銃の所持許可を受けた者(射撃教習又は技能検定を受ける者及び練習射撃を行う者を含む)は、射的練習のために1日に実包と空包の合計400個以下を消費できる。

  3. 銃の所持許可を受けた者は、鳥獣の駆逐のために1日に空包100個以下を消費できる。

 上記より多い数量を消費するときは、消費許可を受けなければならない。
 
●残火薬類の措置
 
 狩猟者登録証の有効期限が満了した際の残火薬類は、満了の日から1年間は適法に所持できるが1年を経過したときは遅滞なく譲渡又は廃棄の手続きをしなければならない。なるべく譲受けの時点で残火薬類を残さないような数量を譲り受けるよう心掛けるとともに、猟期終了後は猟友会等の主催する射撃会に参加するなどして残弾を自宅に残さないよう配慮することが望ましい。
 
●廃棄
 
 残火薬とか不良火薬又は不発実包等を廃棄する場合は、知事の(公安委員会ではない)許可を受けなければならない。廃棄の方法は、規定の技術基準に従って行わなければならない。
 
●火薬類を取り扱えない者
 
 火薬類は18歳未満の者に取り扱わせてはならない。


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